【前回記事を読む】「赤信号では車を止める」「ボタンがあれば押す」「着信音で電話に出る」など、人間が感覚と動作、行為とに新しいルールをつくることを…
I 動きと意識のダイナミクス
背側運動前野と連合形成
腹側運動前野と視覚誘導による道具の操作、アフォーダンス
このことから、道具を見ると(無意識であっても)頭頂連合野が活動し、そこと密接な関係の運動前野腹側部も活動している可能性があると思われる。
またある道具には、その道具を操作する行動を誘発する特性(アフォーダンス)があるといえるが、必ずしも道具ではなくても、外界の事物が視覚的に入力され、それに何らかの操作を加える行為が誘発されれば、それにはアフォーダンスがあるといえる。
私たちの周囲には、アフォーダンスを提供するものが多数あり、これらが競合しているものと考えられている(アフォーダンスの競合)(1)。アフォーダンスとは、外界の物体などにおいて、それに対して何らかの行為を誘発するような、形態的な特徴をもっている状態のことを意味する。
ミラーニューロン
また人(検査者)がお菓子を手でつかんで食べている際に、それを見ているサルの運動前野腹側部が活動しているということの発見から、このニューロンはミラーニューロンと名付けられた。
サルは手を動かしていないのに、人の手の動きを見ているだけで、自分が手を動かした時に活動する領域が活動しているということで、自分の動きをあたかも鏡(ミラー)で見ているような状態という意味で、ミラーニューロンという。
これは自分の動作時にも他者の動作観察時にも同様に活動するということで、他者の動作の理解、模倣、共感などに関係しているといわれる。
もちろん動作観察時において、他者のどのような動きに対しても活動するわけではなく、たとえば最初の発見時のように、他者が行っている行為に対して、自分もお菓子をつまんで食べたいなという欲求があると考えられる場合など、人の場合でいえば自分がお菓子をつかんでいる動きのイメージ(?)に伴って活動しているのではないかと思っている。
補足運動野と自発的動作の開始
補足運動野は自発的な動作の開始にかかわると考えられている(1)。これは記憶誘導性の動き(記憶から引き起こされる動き)の開始ということである。補足運動野損傷の急性期に自発的な動作や発語ができないことがあるという。