俳句・短歌 短歌 故郷 2022.04.14 歌集「星あかり」より三首 歌集 星あかり 【第101回】 上條 草雨 50代のある日気がついた。目に映るものはどれも故郷を重ねて見ていたことに。 そう思うと途端に心が軽くなり、何ものにも縛られない自由な歌が生まれてきた。 たとえ暮らす土地が東京から中国・無錫へと移り変わり、刻々と過ぎゆく時間に日々追い立てられたとしても、温かい友人と美しい自然への憧憬の気持ちを自由に歌うことは少しも変わらない。 6年間毎日感謝の念を捧げながら、詠み続けた心のスケッチ集を連載でお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 西安に行くよと友の弾む声 万里の城のウォーアイニー哉 織姫と彦星出逢う七夕の 星のロマンス友と為す哉 求め合い離れ離れを乗り越えて 互いに愛し出逢いを作る
小説 『毎度、天国飯店です』 【第6回】 竹村 和貢 サークル勧誘チラシの前で、『徒然草』を抱えた美人と出会った…。 天国飯店の定休日は毎週火曜日。アルバイト生四人で、月曜から土曜の間の五営業日を分担する。四人のうち誰か一人が二営業日に入る。その者以外の三人のうちの一人が日曜日に店に入る。日曜日は大学が休みなので、朝の十時から閉店の午後九時まで十一時間店に入ることになる。「ほな、俺、明日もバイトやさかい、おっちゃんに自分のこと話してみるわ。多分、おっちゃんも構へん言わはる思うねんけど」夏生は、「できない」とは思…
小説 『近づく果実 』 【第15回】 鈴木 寂静 デイケアで初めての交流。「趣味はない」という人が多いなか、晴美は立ち上がり… 晴美はその男性を「若白髪」と心の中で命名した。晴美に促した看護師は薄化粧がとても彼女の顔に映え、美しさを増長させていたので「薄化粧」。黒板にチョークで今日の話し合いのタイトルを書いた看護師は対照的に化粧をしていなかったが、まるで化粧をしているかのように白雪のごとくもちもちとした肌をしているので「白雪」と名付けた。窓側の北側に一人座っていた男性の医師は白衣姿ではなく、ジャケットを羽織った普通の格好…