俳句・短歌 短歌 故郷 2022.04.21 歌集「星あかり」より三首 歌集 星あかり 【第102回】 上條 草雨 50代のある日気がついた。目に映るものはどれも故郷を重ねて見ていたことに。 そう思うと途端に心が軽くなり、何ものにも縛られない自由な歌が生まれてきた。 たとえ暮らす土地が東京から中国・無錫へと移り変わり、刻々と過ぎゆく時間に日々追い立てられたとしても、温かい友人と美しい自然への憧憬の気持ちを自由に歌うことは少しも変わらない。 6年間毎日感謝の念を捧げながら、詠み続けた心のスケッチ集を連載でお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 代えられず繰り返されぬ空蝉の 命損失何で償う 汚れてたTシャツ川で洗う友 過去思い出し涙溢れる 多種の草顔を合わせる道の隅 歓喜を謳う夫々の生
エッセイ 『カサンドラ症候群からの脱却[人気連載ピックアップ]』 【新連載】 Happy Navigator 那美 妊娠4ヵ月目の裏切り......夫が会社の同僚と肉体関係を持っていた。「だってお前が、子どもを欲しがったから」 夫とは、私の会社の同僚の友人という形で知り合い、1年半のお付き合いの後、結婚しました。もちろん、幸せになるために結婚しました。子どもたちと一緒に温かい家庭を築くことが目標でした。1年半のお付き合いの中でも、私は特に彼に違和感を持つことはありませんでした。いま思えばなんですが、結婚に関して前進する手続きはすべて私がやりました。・結婚するまで二人で積立する・家具や生活用品を買う・結婚式の日取りを決め…
エッセイ 『ALS―天国への寄り道―[人気連載ピックアップ]』 【第3回】 島崎 二郎 母は、妻が作った食事を犬の餌にしていた。認知症になると、妻が掃除する傍からゴミを投げた。妻は自分を責めて… 京子は結婚を機に仕事を辞めてから、ずっと専業主婦をして、私を支えてきた。兄が家を出て結婚したため、私達夫婦が両親の住む主屋とは別棟だが、同じ敷地内に建つ家で生活をすることになった。それゆえに、年老いた親を妻が一手に引き受け、面倒を看ることになった。父親は少し身体が不自由になり、冬は布団から出られなくなっていた頃だ。母親もすでに八十六歳になろうとしていた。何時しか炊事の火から離れるようになり、京子…