俳句・短歌 短歌 故郷 2022.04.07 歌集「星あかり」より三首 歌集 星あかり 【第100回】 上條 草雨 50代のある日気がついた。目に映るものはどれも故郷を重ねて見ていたことに。 そう思うと途端に心が軽くなり、何ものにも縛られない自由な歌が生まれてきた。 たとえ暮らす土地が東京から中国・無錫へと移り変わり、刻々と過ぎゆく時間に日々追い立てられたとしても、温かい友人と美しい自然への憧憬の気持ちを自由に歌うことは少しも変わらない。 6年間毎日感謝の念を捧げながら、詠み続けた心のスケッチ集を連載でお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 ダイオード発光のよう水鳥と 樹葉重なる緑の世界 帰宅時の道端沿いに並んでる 草花の姿天の装い 無限かな通信網の割当は 夢に満ちてる映像世界
エッセイ 『カサンドラ症候群からの脱却[人気連載ピックアップ]』 【新連載】 Happy Navigator 那美 妊娠4ヵ月目の裏切り......夫が会社の同僚と肉体関係を持っていた。「だってお前が、子どもを欲しがったから」 夫とは、私の会社の同僚の友人という形で知り合い、1年半のお付き合いの後、結婚しました。もちろん、幸せになるために結婚しました。子どもたちと一緒に温かい家庭を築くことが目標でした。1年半のお付き合いの中でも、私は特に彼に違和感を持つことはありませんでした。いま思えばなんですが、結婚に関して前進する手続きはすべて私がやりました。・結婚するまで二人で積立する・家具や生活用品を買う・結婚式の日取りを決め…
小説 『カトリーヌと囁き森』 【第20回】 智佳子 サガン 島の表面が白いサンザシとニオイニンドウと野ばらの白に覆われる遅い春がもうすぐやってくる 三月も終わりの雨が降るある午後、イロンデイルの屋敷にひとりの来客があった。二階の三つのゲストルームのひとつにその客は滞在することを私はメイドのカーラ・グリーンから聞いていた。というか、久しぶりのお客様なんだから、とカーラが私より少し年上のもうひとりのメイドのジェーン・フォンテーヌブローに言っている場所に居合わせただけだが、カーラのいつもより華やいだ口調にジェーンは鼻白んでそっぽを向いた。「ジェー…