私の視覚経験、中心視野のタイムラグと視覚持続

また、あとでふれますが、感覚情報保存(視覚持続、アイコニックメモリーと同義)という現象が実験で確かめられています。この視覚持続は、刺激が網膜に入ってそれが見えてから(視覚成立後)、100~200ミリ秒程度その視覚映像が持続しているというものです。このことから考えても視線を移動させたあとで、直前の映像(中心視野での映像)が見えることは理論的にはありうると考えられます。

ただこのように視線を移動させたところの視界の中に(周辺視野の中に)、直前の中心視野での映像が視覚化して見えるためには、ふつうはこれは不自然な映像となってしまうので、不自然とならないための何らかの条件が必要なのではないかと思っています。

例えば自分の経験でのように、直前の数字が車のスピードメーターのように電光で明るくなっていて、次に視線を移動させたところが暗い状態というような場合などです。このように(視線を移した)次の視界での映像(周辺視野と中心視野での両方の映像)を妨げないような状態でなら、直前の中心視野での映像が次の視界で視覚化されることもありうるのではないかと考えています。

ちなみにこのように瞬間意識的にサッケードでとらえ、すぐに視線を他に移して、中心視野での映像が見えないようにしようとして、その後自分で意図的に何回もやろうとしたのですが、どうしてもできず、視線を向けた時点で、中心視野でも見えてしまいます(これはふつうのことですが)。

意図的にやろうとしても、どうしても時間がかかってしまうためにできないということと思いますが、さきほどのように、もし視線を向けてから、30~40ミリ秒以上で60~80ミリ秒以内に視線を他に移せれば、周辺視野では見えて、中心視野では見えないという状況をつくれると思っています。