小説 小説 音楽 家族 2022.03.09 【小説】夫婦水入らずで訪れたみなとみらい。その目的は… 遥かな幻想曲 【第1回】 尾島 聡 無慈悲な現実に立たされてもなお、明るく生きた家族の物語。 この記事の連載一覧 次回の記事へ 最新 ※本記事は、尾島聡氏の書籍『遥かな幻想曲』(幻冬舎ルネッサンス新社)より、一部抜粋・編集したものです。 遥かな幻想曲 レッスン室のピアノの譜面台に立てかけられていた、シューマン「幻想曲(ファンタジー)」原典版の楽譜。表紙を開くと、扉ページとの間に一筆箋の短い手紙が挟まれていた。
小説 『愛され未亡人の、湯けむり恋物語』 【新連載】 月川 みのり “ある条件”さえのめば、月給32万円のハロワ求人…娘に見せると震える声で「月に1度は必ず帰ってこれるんだよね?」と… 洗濯物を取り込みながら、栗原よし子はため息をついた。3月の風はまだ冷たい。ベランダから見える団地の桜は、まだ固い蕾のままだ。3年前、夫の正志が膵臓がんで逝ったあの春も、こんな風が吹いていた気がする。あれから季節は3度巡り、よし子は48歳になった。白髪が増えた。目尻の皺も深くなった。鏡を見るたびに、自分が老けていくのが分かる。それでも構わなかった。見てくれを気にする相手など、もういないのだから。テ…
小説 『キンタマなんかくれてやる』 【新連載】 緒方 ケント 町中が僕のフィールドだった。大人たちが「元気があっていいね」と笑いながら声をかけてくれたが、数年後、周囲から「落ちこぼれ」と揶揄された わずか15グラム──それは、小さな「ゴールデンボール」一つの重さ。しかし、そのわずかな重みが、時に人生を、そして組織の運命さえも大きく揺るがすことがある。本来ならそれは、男性ホルモンを分泌し、未来へ命をつなぐための器官。だが、僕にとってはそれ以上の意味を持っていた。どんな人生にも必ず色がある。灰色に見えた日々にも、必ずどこかに小さな灯(ともしび)がともる。生きていれば、何度も試練が訪れる。夢を諦…