《1》やっと、太陽光エネルギーの時代がやってきた
太陽光エネルギー普及策に失敗した日本
1999年、ドイツの社会民主党と緑の党の連立政権が再生可能エネルギーを促進するためにエネルギー政策の改革を行い、固定価格買取制度(FIT)という大がかりな再生エネルギーの普及のためのプログラムが動き始めました。
FITとは、再生エネルギーの買取り価格を決め、一定期間その価格での買取りを保証して、量産効果で急速なコストダウンをはかり、普及をはかる方式の助成制度です。
研究開発の後、量産効果が発揮できるようになるまでの間、短期間でいいですから、このような普及策がきわめて重要です。
(ここで少し横道にはいりますが、FITのような普及策がいつでも有効であるとは限りません。
産業政策は、その対象となる技術や製造方法をみきわめてやらないと、大変な誤ちを犯すことがあります。
機械製造には、経験的にラーニングカーブ(習熟曲線)が認められていて、ある程度の量産効果はあります。
しかし、半導体などの量産効果は、機械類の量産効果とは本質的に異なるところがあります。
半導体製造は、基本的に半導体チップに回路パターンを転写するというもので印刷技術です。
半導体製造技術については、米インテル社の創業者のひとりであったゴードン・ムーアが、1965年に唱えた「ムーアの法則」、つまり、「一つの半導体チップに微細加工されたトランジスタは18ヶ月(現在は2年)で2倍になる(4年で4倍)」という法則があります。
機能が4年ごとに4倍になるということは、コストは4年ごとに4分の1になるということです。
半導体は、その後、ほぼそれに沿って発展してきました。
筆者は1980年代、通産省で日米半導体問題を担当しましたが、そのころに問題になったのは、記憶容量256K(Kは1000ビット)の半導体でした。
その後、ムーアの法則どおり4年ごとに、1M(メガ)、4M、16M、64M、256M、1G(ギガ)、4G、16G、64G、256Gと世代を重ね、三十数年で10億倍の機能を持つようになっています。
ということはコスト的には10億分の1になったということです。
このような驚異的なコストダウンがあったから、現在のように情報が「ただ」のような情報通信社会になっているのです。