沈みゆく夕日を眺めながら、ツー・サンズはなおも語り続けた。
「ブラック・フォックス、あなたの得意な足をまず活かしましょう。彼らの銃弾の当たらない距離、そう、数百メートルの位置を保ちながら、彼らを渓谷に誘導して下さい。そこに、バッファローを数頭、おびき寄せておきます。
彼らは、インディアンを撃つこと、バッファローを狩ることに夢中となり、もし罠と感じても、必ず追い駆けてきます。それは、インディアンなど大したことはないという、単なる過信です。
白人たちが渓谷に入ったことを確認したら、ブラック・フォックス、あなたは、予め掘っておいた穴に隠れて下さい。ビッグ・コレクター、あなたの役割は、部下を従え、渓谷の上から巨石を落とすことです。彼らは慌てふためくでしょう。
確かに私たちの人数はわずか30人、白人たちは100人を超すでしょうが、平常心を失った者を討つのはたやすいことです。渓谷の谷間から逃げ出す敵を討つのはあなた、ライジング・ウルフしかいません」
ツー・サンズの素早い判断と説得力のある計画に、その場にいる皆が一言もなくうなずいた。
それぞれがティピーに入り、床に就く。
やがて決戦の夜明けがくる。