俳句・短歌 四季 2021.08.12 歌集「漣の夢」より3首 歌集 漣の夢 【第66回】 上條 草雨 中国江蘇省・無錫に留学し、その地の美麗さに心奪われた著者が詠み続けた、珠玉の短歌二一〇〇首と三九首の漢語短歌を連載にてお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 黄昏たそがれの朱色に化した西陽時にしびどき 不如帰鳴く愛惜あいせきの声 枯れていた草地くさちも今は柔らかい 生ける緑の草地に変わる 緑萌え鳥や虫飛び花開く 自然の住まい楽園地帯
小説 『記憶のなかで生きる』 【第16回】 厚切りゆかり 「3日も熱が続くのはおかしい」と母を病院へ連れて行くと…病名を聞き、「入院が必要」頭が真っ白になった。 【前回記事を読む】家のトイレがわからない母のために、家中のドアに紙を貼った。『トイレ』、『台所』、『お母さんの部屋』その年の冬は、例年より寒かった。母は寒さに弱くなったのか、こたつから離れようとしなくなった。「お母さん、少しは動いたほうがいいよ」「だって、寒いんだもの」「じゃあ、こたつの中で足踏み運動しよう」私は母と一緒に、こたつに入ったまま足を動かす運動をした。テレビの体操番組を見ながら、二人…
小説 『マリファナ家族』 【第8回】 東 龍澄 妻はスマホ、2歳半の息子は寝室。冷たい食事を一人で済ませた夜、俺の日常は壊れた 【前回記事を読む】ここを出て息子に会うんだ――最愛の息子に会えない現実に何度も心が壊れかけ……それでも諦めきれなかったその間に海岸はその表情を、刻一刻と変化させていった。マリファナに火を点ける前とは、別の世界だ。すごいスピードだ。いや俺が遅くなったのか。没する間際の、強烈な朱さの夕陽が、水平線と溶け合い、藍色の波が次第に黒みを増していった。沖合の島の灯りや、船の灯りが水面に反射し、オパールに似た…