多数派と少数派、意図した壁で遮る音楽
マジョリティ MAJORITY
マイノリティ MINORITY
前者は多数派、後者は少数派。海堂は何か……流れでいくと音楽を、この二極に分類する作業に着手するらしい。
多数派は「国民的」という形容詞が付されたり「オリコン初登場1位連続記録更新」といった看板を背負った歌手、バンド、グループ。
少数派は「隠れ名曲」と語り継がれるような、知る人ぞ知る楽曲を集結させたい。
例え有名な歌手が歌唱している唄でも、LIVEにいかないと聞けない楽曲もこの世界には存在する。
コピリニクスで歌唱、演奏してもらう面子は徐々に集まり始めた。
海堂も経験があるので、ドラムスやギターで数曲レコーディングに立ち会う予定だ。
「@=アット」という歌手……正確にはシンガーソングライターをピックアップしても王道のJ・POPというイメージが強く、バンド・サウンドというスタイルから、やや遠い音楽だと考えられる。
しかし、Album『泡のような愛だった』収録曲:Love letterは、疾走感溢れる激しいビートを刻む。
「国民的」「連続記録」そういった看板を掲げていなくとも、多数派の1曲に選んでも悪くない仕上がりだと海堂の鼓膜は判断した。
歌唱を支える面子の中に、岩舘敬子【いわだてけいこ】というヴォーカリストが居る。
RED CARPET ACTRESS 通称:RCAは中四国を拠点にツアーを回る中堅バンド。
今年のツアータイトルは「ウィー アー アラサー? オア アラフォー?」
30にも40にも傾かない年輪の四重奏。その中心に居るのが敬子。
「@=アット」のLove letterは弦楽器が参加している為、すぐにレコーディングはできないが、居合わせた面々でアンサンブル(調和)することは、決して無駄なことではない。
海堂はドラムスで参加予定だが、ギターもそれなりに鳴らせるので、CDから聴こえてくる音をなぞるかの様に丁寧に演奏して、敬子にイメージを膨らまさせた。
折角こんな企画を思いつき、すでに立ち上げ始めたので、多数派、少数派、合わせて30曲は歌唱、演奏しようと意気込んだ。大学時代の弦楽サークルの知人とスケジュールが合えば、一気に録音モードに突入できる。
現時点では海堂が六弦を引っ掻いているがRCAにもギタリストは居るし、企画に賛同してくれた仲間も数人確保している。