第1回医療事故調査制度の施行に係る検討会

加藤良夫構成員:「日本医療法人協会医療事故調ガイドライン」という資料4の中を読ませていただきますと、過誤類型というものが基本的に削除されていると書かれているわけですけれども、条文そのものは、特に過誤があるとか、ないとか、そういうことは一切書いていないわけですね。

6条の10の文言は、要するに、「予期しなかったものとして」ということしか要件として出てこないわけですけれども、そこには当然、過誤のあるもの、ないもの、その両方を含んでいて、その区別をしないで予期しなければ報告していくのだと、そういう考え方で、これまで検討部会でも議論されてきたのだろうと思っております。

立法の趣旨からしても、例えば、過誤の類型が排除されることになりますと、この医療安全と言うものがスタートしたのは、都立広尾病院事件の消毒薬を誤注入したケースが非常に印象的だったと思いますけれども、あのケースは、日本医療法人協会のガイドラインでいきますと、落ちてしまう。

社会常識的に見て、到底了解できる話ではないですね。つまり、医療事故があったときに、過誤があったか、なかったかということを突き詰めて考えて行く前に、予期しない事例であれば、きちっと報告をしていただくというところからスタートしていくのだという考え方でないと、過誤類型を外すと言う話になってくると、過誤があるか、ないかということを一々考えると言う話になってくるわけですね。

予期しないものをきちっと調査して安全につないでいこうという法の趣旨からして、当然、過誤類型も含まれている。もちろん解釈というのはあるわけですけれども、そういうふうに考えなければいけないと私は思って、「日本医療法人協会医療事故調ガイドライン」の随所にいろいろと疑問点があるわけですけれども、とりあえず、最初のスタートとしての発言としては、その点を1つ。

管理の問題でも、日本医療法人協会のガイドラインは西澤構成員の報告と内容的には違ってくるのかなと思って聞いていたのですけれども、西澤構成員の報告では医療を伴わない管理は医療事故調査の対象とはしないけれども、医療の中の管理は対象に含まれるのだというお話でありました。

当然、医療の外、中という問題はあるのですけれども、例えば、医療の現場で入院患者が殺害されるという例があります。そういうものは、多分、提供した医療という話ではなくて、今回は除外をしているのだろうなと、そういう意味合いで、実際に、例えば、薬の管理とか、いろいろなことに問題があれば、当然それは安全につないでいかなければいけない事例ですから、管理と言うものは完全に除外することは現実の問題としても難しい。

医療安全を真剣に構築して行こうと考えた時には、管理に関わるものすべてを報告の対象からすぽんと落として行こうと言う考え方は、国会で示された、人々の期待というものをないがしろにしてしまうものだと考えます。