俳句・短歌 四季 2021.05.06 歌集「漣の夢」より3首 歌集 漣の夢 【第20回】 上條 草雨 中国江蘇省・無錫に留学し、その地の美麗さに心奪われた著者が詠み続けた、珠玉の短歌二一〇〇首と三九首の漢語短歌を連載にてお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 僕達と誕生祝う創設者 日本料理の松鈴楼しょうりんろうで 紫の躑躅つつじ満開一斉に 皆微笑みなほほえんで歓迎してる 存在を創造保全完成の 愛の摂理の美しさ哉
小説 『恋愛配達』 【第15回】 氷満 圭一郎 配達票にサインすると、彼女は思案するように僕の顔を見つめ「じゃあ寄ってく?」と… 「本業は酒屋で、宅配便はバイトです。ところでさ」ぼくはたまらず差し挟まずにはいられない。「さっきからなんなの、どっち、どっちって?」「だってあなた、ドッチ君だもん」「何、ドッチ君て?」すると瞳子さんは、ぼくの胸に付いている名札を指差した。これは配達者が何者であるのか知らせるために、運送会社から貸与されているものだ。ぼくの名前は以前病室で宴会を開いた時に教えていたはずだが、漢字までは教えていない。…
小説 『奥会津の人魚姫』 【第18回】 西田 理酉 死んだ娘に掛かっていた6000万円の保険金…。双子の片割れにはアリバイがあった。 「確かに一応関係者の足取りを確認するのが、我々の仕事なのですが、乙音さんと千景さんはその日、会津若松市の複数店舗で買い物をしており、レシートの時刻が正午頃の物もありました。つまり、汐里さんが亡くなった時刻に、お二人がめぶき屋にいなかったのは間違いがありません。これはお店の防犯カメラの映像からも、確認済みです」「でもそこまで調べてるってことは、やっぱり警察も乙音を疑ってたってことだ」「いいえ、これ…