俳句・短歌 歴史・地理 歌集 歴史 2021.02.24 歌集「風音」より三首 歌集 風音 【第30回】 松下 正樹 何気ない日常にある幸せを探しに。 優しい風を運ぶ短歌集を連載でお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 この街の 忘れ形見に一枚の 畑(はたけ)残され葱(ねぎ)の花咲く 女郎蜘蛛、白銀(しろがね)の巣を架けし藪(やぶ) 伐り払はれて家が建ちたり 冬ごもる藪は伐られて鶯の 初音を恋へど絶えて久しき
小説 『眠れる森の復讐鬼』 【第7回】 春山 大樹 顔面まで焼けただれ、身元不明。いじめ被害の女子高生は、なぜあの公園で灯油を被ったのだろうか。 二〇一四年三月二十三日、月曜日の昼休み、急に教室が騒がしくなった。スマホに衝撃的なニュースが流れてきたからだ。その日の未明午前三時頃、山本公園で火災発生の通報があり消防隊が駆け付けたところ、人が炎に包まれて倒れているのを発見。病院に救急搬送されたが全身に火傷を負っており、意識不明の重体。近くに灯油を入れていたポリタンクが落ちており、焼身自殺を図ったものと思われる。顔面を含め全身が焼けただれている…
小説 『あなたと虹を作るために[人気連載ピックアップ]』 【最終回】 福田 恭子 第二子である長男が誕生。その5日後に阪神淡路大震災が発生した。死者や行方不明者がどんどん増えていく中で一人の政治家が… 【前回の記事を読む】学者の道に入った以上は先頭に立って汗水流し、豊かな収穫を人々にもたらすべきだという信念と覚悟を持っていた夫一九九五年一月十二日、第二子である長男が誕生した。その五日後の一月十七日。退院予定日の早朝、大きな揺れに目が覚めた。地震だった。待合室に行くと、阪神淡路大震災の速報がテレビに映っていた。京都の母から、新幹線が止まっていて東京へ行けない、という電話が入った。退院を延ばし、見…