俳句・短歌 歴史・地理 歌集 歴史 2021.02.17 歌集「風音」より三首 歌集 風音 【第29回】 松下 正樹 何気ない日常にある幸せを探しに。 優しい風を運ぶ短歌集を連載でお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 坂道を歩み下れば新河岸川(しんがしがは) 満ち潮よせてぼらのさ走る *新河岸川 荒川の支流。 江戸の代(よ)はさる旗本の領地なり 馬上(ばじやう)ゆたかに巡りしならん この界隈、半世紀前を思い出す 白菜を作る畑ひろがる
小説 『アイアムハウス』 【新連載】 由野 寿和 静岡県一家三人殺害事件発生。その家はまるで息をするかのように、いや怒っているかのように、大きく立ちはだかり悠然としていた 午前十一時。サイレンを鳴らさず、車両は静岡県藤市十燈荘(じゅっとうそう)に到着した。静岡中央市にある県警本部から十燈荘までは、藤湖をぐるっと大回りして藤市経由でトンネルを通り、小山を登ることになる。藤湖を見下ろす高級住宅街、十燈荘は、土曜の昼だが活気はない。既に外部への交通規制が敷かれているとはいえ、不気味に静まり返っている。ここで殺人事件があったことを、住民達が知っている気配はなかった。その家…
小説 『心ふたつ』 【最終回】 高田 知明 一世一代の悪霊退散の儀式。今まで代々と長男を守り、時には呪ってきた「ふみ」さんは計画通りに現れた...!! 「弘樹さん。貸衣装もバッチリよ」陽菜は持ち帰った紙袋をぽんと叩いてVサインを出した。午後二時過ぎになると、俺の両親と姉がやってきた。姉がひろみの顔を見て「かわいい」と言っている横で、両親は陽菜の顔を見て唖然としていた。「これならうまくいくかもしれないな」それまで不安でいっぱいだったが、この父の言葉に励まされた俺は、これから始まる対決に、自信をもってやればいいのだと自分を励ました。「何がうまくいく…