エッセイ 芸術 2021.02.17 「今を大切に 君の人生だよ」より「須永博士」 今を大切に 君の人生だよ 【第4回】 青山 珪香 あらたな書芸術を模索しつづける書家からのメッセージ こんな時代だからこそ、ぬくもりのある言葉を―― 時代がどんなに進んでも、心に届くのは人のあたたかみ。 わかる。感じる。励まされる。 70年近い書人生のなかで、「だれもが読めて心に響く書のものを」との思いから、 多くを自作の文で制作してきた書家による作品集。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 授かった命に感謝し 明るい未来を信じて 頑張ってほしい 苦しみも楽しみに 変わる時がキッとくる (須永博士)
小説 『恋愛配達』 【第15回】 氷満 圭一郎 配達票にサインすると、彼女は思案するように僕の顔を見つめ「じゃあ寄ってく?」と… 「本業は酒屋で、宅配便はバイトです。ところでさ」ぼくはたまらず差し挟まずにはいられない。「さっきからなんなの、どっち、どっちって?」「だってあなた、ドッチ君だもん」「何、ドッチ君て?」すると瞳子さんは、ぼくの胸に付いている名札を指差した。これは配達者が何者であるのか知らせるために、運送会社から貸与されているものだ。ぼくの名前は以前病室で宴会を開いた時に教えていたはずだが、漢字までは教えていない。…
小説 『人生の切り売り』 【第5回】 亀山 真一 コンプレックスである大火傷の痕。悪魔は「大事に取っておいたんだ?」と冷たく言った 「この男が売っ払ったっていう元彼か」不躾(ぶしつけ)な呟きに、反射的に言葉を被せる。「どうして戻ってきたの?」「君に頼まれたのは『ちょっと出てって』とそれだけだから、いつこの部屋に現れようと僕の勝手だろう」悪魔は掛橋くんから視線を逸らすことなく答えた。その声音はやっぱり面白がっている。「そもそも君の言葉に従う義務も、僕にはないんだし」「じゃあ最初からそう言ってよ」きちんと対応を考えられていれば、…