エッセイ 芸術 2021.03.31 「今を大切に 君の人生だよ」より「自作文」 今を大切に 君の人生だよ 【最終回】 青山 珪香 あらたな書芸術を模索しつづける書家からのメッセージ こんな時代だからこそ、ぬくもりのある言葉を―― 時代がどんなに進んでも、心に届くのは人のあたたかみ。 わかる。感じる。励まされる。 70年近い書人生のなかで、「だれもが読めて心に響く書のものを」との思いから、 多くを自作の文で制作してきた書家による作品集。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ あらたな書芸術を模索しつづける書家からのメッセージ。こんな時代だからこそ、ぬくもりのある言葉を――。時代がどんなに進んでも、心に届くのは人のあたたかみ。わかる。感じる。励まされる。70年近い書人生のなかで、「だれもが読めて心に響く書のものを」との思いから、多くを自作の文で制作してきた書家、青山 珪香氏による作品集。 慈 (自作文)
小説 『魂業石』 【新連載】 内海 七綺 沼のような目でこちらを覗くおじさん…通り過ぎようとしたら、ランドセルにかけた給食袋を引っ張られ、後ろから口を塞がれた。 茜色の気配が透明な青を少しずつ蝕む帰り道だった。背の高いブロック塀に囲まれた脇道の暗く湿った闇から、男がじっとこちらを覗いている。瞬き一つしない、暗い沼のような目。変なおじさんだ、と雪子は思った。姦(かしま)しく笑っている亜弓(あゆみ)たちは男にまったく気づいていない。そのまま一緒に通り過ぎようとしたら、ランドセルにかけた給食袋をつかんで引っ張られ、後ろから口を塞がれた。叫ぶ暇もなかった。亜弓た…
小説 『真夜中の精霊たち』 【第6回】 新見 上 彼女の瞳の色を、彼は生涯、忘れられなかった。彼女にキスをしたいという堪え切れない衝動が同時にこみ上げてきて...... 【前回の記事を読む】彼女は他の女の子達とは違う。彼女ときたら、男がいる前で、お構いなしにガニ股で水の流れの中を踏ん張って洗濯しているんだから。…濡れた雫で梳かされた黒髪とか、水滴がその上で泡立つ小麦色の肌とか、いくらでも描写することはできるけれど、そのどれ一つとして、彼女の美しさの核心に迫るような形容はない。その時に見た彼女の瞳の色を、彼は生涯、忘れられなかった。あんなふうに切り刻まれてしまった…