評論 2021.01.27 「今を大切に 君の人生だよ」より「室生犀星」 今を大切に 君の人生だよ 【第1回】 青山 珪香 あらたな書芸術を模索しつづける書家からのメッセージ こんな時代だからこそ、ぬくもりのある言葉を―― 時代がどんなに進んでも、心に届くのは人のあたたかみ。 わかる。感じる。励まされる。 70年近い書人生のなかで、「だれもが読めて心に響く書のものを」との思いから、 多くを自作の文で制作してきた書家による作品集。 この記事の連載一覧 次回の記事へ 最新 自然に恵まれた ふるさと信州が 懐かしい 年を重ねると 一層強くなる 色を付け 詩のイメージを 出してみました (室生犀星)
小説 『迷いながら揺れ動く女のこころ』 【最終回】 松村 勝正 主人は下半身麻痺で、車いすの生活です。障害を承知で結婚しました。でも、私は何もしません。入浴介助からリハビリまで… 「そうよ、山形さんも注意遊ばせ。二人で篠田、山形と苗字で呼び合うのはいかにも他人行儀ね。これからはお友達になったのだから、下の名前で呼びましょうよ。私は『陽子』。山形さんは?」「私は『美代子』と言います」「素敵な名前ね。美代子さんは青葉台でしたわね? 長いんですか?」「まだ二年程です」「お子さんは?」「いません。主人と二人きりです」「ご主人のお仕事、伺ってもいいかしら?」「主人は在宅で個人事務所…
小説 『薔薇のしるべ』 【第7回】 最賀茂 真 薔薇を、私の薔薇を見ている! それほど熱心に見てもらえるなんてと、突然喜びが湧いてきて… 花輪はその内側に光源があるかのように、仄かな点り色を見せて輝き出していく。その度にしみじみと思う。―― 薔薇は、他の花のように光を返して輝くのではなく、光を吸って輝くのだ―― と。一つの株であっても開き具合や花茎の位置によって花色に微妙な違いが生まれ、やがてそれらは混然と溢れる花群となっていく。 魔術のような時間、美が開く時。典子は色彩のシンフォニーに包まれ、魂の奥底までが共鳴していくのを覚える…