エッセイ 芸術 2021.02.24 「今を大切に 君の人生だよ」より「ブルータス」 今を大切に 君の人生だよ 【第5回】 青山 珪香 あらたな書芸術を模索しつづける書家からのメッセージ こんな時代だからこそ、ぬくもりのある言葉を―― 時代がどんなに進んでも、心に届くのは人のあたたかみ。 わかる。感じる。励まされる。 70年近い書人生のなかで、「だれもが読めて心に響く書のものを」との思いから、 多くを自作の文で制作してきた書家による作品集。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 輪かくが黒く出る メタリック書道液で 書いています (ブルータス)
小説 『約束のアンブレラ』 【新連載】 由野 寿和 ずぶ濡れのまま仁王立ちしている少女――「しずく」…今にも消えそうな声でそう少女は言った 二〇〇三年の年末。猛烈な雨が、差しているビニール傘を氷のように叩きつけている。静岡県藤市にある藤山を局地的な大雨が襲っていた。静岡県警の鳥谷(とりたに)は手に持っていた新聞を口でくわえると、慌ててしゃがみ込んだ。泥でぬかるんだ足元に、大量の水が靴を侵食する感覚が襲った。「こんな雨の中、こんなところにいたら風邪をひいてしまう。ここは危険な場所だ。お嬢さん、名前は?」少女はずぶ濡れのままその場に仁王…
小説 『紅の脈絡』 【第6回】 水無月 慧子 凄惨な拷問の末、全裸で吊るされた若い男の足元には大きな血だまりが。左目を潰され、失禁。刀身はそのまま男の下半身に向けられ… 「あら?」ゆきが、絵の中に何か見つけたらしく、千鶴に尋ねた。「あの、妹さま……」「千鶴でいいわよ。なあに、ゆきさん」「この花は、変わっていますねえ。葉っぱが翼の形をしてる。色も水色だし。今にも羽ばたきそうな。何という花なんです?」「ああ、これ。『レイギッガアの翼』っていうの。ほら、わたくしの帽子にも二輪」千鶴の帽子には、「レイギッガアの翼」を模した木彫りらしい飾りがついていた。「れい……ぎ……。…