エッセイ 芸術 2021.03.03 「今を大切に 君の人生だよ」より「自作文」 今を大切に 君の人生だよ 【第6回】 青山 珪香 あらたな書芸術を模索しつづける書家からのメッセージ こんな時代だからこそ、ぬくもりのある言葉を―― 時代がどんなに進んでも、心に届くのは人のあたたかみ。 わかる。感じる。励まされる。 70年近い書人生のなかで、「だれもが読めて心に響く書のものを」との思いから、 多くを自作の文で制作してきた書家による作品集。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 (自作文)
小説 『恋愛配達』 【第15回】 氷満 圭一郎 配達票にサインすると、彼女は思案するように僕の顔を見つめ「じゃあ寄ってく?」と… 「本業は酒屋で、宅配便はバイトです。ところでさ」ぼくはたまらず差し挟まずにはいられない。「さっきからなんなの、どっち、どっちって?」「だってあなた、ドッチ君だもん」「何、ドッチ君て?」すると瞳子さんは、ぼくの胸に付いている名札を指差した。これは配達者が何者であるのか知らせるために、運送会社から貸与されているものだ。ぼくの名前は以前病室で宴会を開いた時に教えていたはずだが、漢字までは教えていない。…
小説 『虹色の魂』 【新連載】 青居 蒼空 「光は俺に似て二枚目だなあ」「うん、お父さんも僕に似てかっこいいよ」 青い空を眺めていると、いつの間にか僕は、雲の上で浮いていた。見下ろすと、真っ青な海が広がっている。空も海も綺麗なのに、急に不安になった。「お母さん」僕は呟き、母を捜そうとその場を離れようとするが体がいうことを聞かず、ただ浮いているだけだった。「お母さん!」今度は大きな声で母を呼んだ。すると突然、空が赤くなり、僕は真っ逆さまに海に向かって落下した。体中に針が刺さったような感覚を覚える。痛みはないが…