こより川のグラウンドで
次の日レオは、やくそくどおり、力いっぱいがんばりました。
走って、とって、なげて、また走って…。
「かっこいいぞーっ!」
「今のもサイコーッ!」
ベンチには、ぴょんぴょんとびはねながらおうえんしている、トワのすがたがありました。
「よくやった! かんぺきだ!」
「まだまだ、いけるぞ! 力を出しきれーっ!」
トワのおうえんを聞いていると、レオは走っても走っても、力がわいてくるような気がしました。
レオたちのチームは、さいごまであきらめず、とうとう一点リードをまもることができました。
「うおぉぉぉぉぉ…」
グラウンドに、みんなのおたけびがこだましました。
「やったぁぁぁぁ…」
いつの間にか、レオもいっしょに、もみくちゃになっていました。
『やっぱ、なかまって、いいなぁ…』
レオはふと、ヤマトやムッチー、そしてユキチのかおを思い出しました。
それからレオは、トワをさがしました。
「きみの、おうえんのおかげだよ」
そう言いたかったのです。
ところがトワのすがたは、どこにも見あたりませんでした。
ふしぎなことに、だれに聞いても、みんな、トワのことを知りませんでした。
「へんだなぁ…」
レオは、わけがわからないまま、こより川のグラウンドをあとにしました。
※
「ただいまぁ!」
家に帰ると、おばあちゃんがごちそうを作って、まっていてくれました。
「わっ、うまそう!」
テーブルの上には、おさしみやからあげ、エビフライ…。
「おれたちのチームがかつって、知ってたの?」
レオはごちそうをほおばりながら、今日の大かつやくの話をしました。
おばあちゃんは、コロコロわらい声をあげながら、聞いてくれました。
「おまえの父さんも、むかし、少年野球チームに入っていたんだよ」
レオはおどろいて、はしを止めました。
「えっ、そうだったの?」
今までお父さんから、聞いたことがなかったからです。