ユキチのめがね
がっこうの、帰り道…。レオが、きゅうに立ち止まりました。
「あいつ、ちょっとさぁ…」
そばにいたヤマトとムッチーは、レオの見ているさきに、かおをむけました。そこには、てんこう生のヒロユキがいました。ヒロユキは、ひとりぼっちでせなかを丸め、トボトボ歩いています。
「そうそう、あいつ、ちょっと…だよね!」
おちょうし者のムッチーは、合わせるように答えました。
「うん…だよな?」
レオが、ふたたび言いました。いったい、ちょっとなんなのか、ふたりともはっきり言おうとしません。でもヤマトは、ヒロユキがレオの『エモノ』になったのだと、わかりました。なかまはずしの『エモノ』です。
「あいつ、なんだか、くさくないか?」
「そうそう。いつもおなじふくばっか、着てるし」
「それって、ビンボーのにおいじゃない?」
ふたりは、かってに言いはじめました。
「ヒロユキじゃなくて、ユキチって感じだよな?」
「あこがれの一万円さつのユキチか? イメージ、ぴったしじゃん!」
ムッチーが、ケラケラわらいました。そこでレオは、ムッチーのうしろにいるヤマトにも、声をかけました。
「ヤマトも、あいつ…だよな?」