レオにとって、ヤマトはとくべつななかまです。べんきょうができて、スポーツもとくいで、ゲームだって強くて…。
レオは、ヤマトにだけはかなわない、と思っています。しかしヤマトは、小さな声で答えました。
「ぼくは、べつに…」
レオは、少しがっかりしたようすで、口をとがらせました。あわててムッチーが、ヤマトをけしかけました。
「なんだよ、おまえもちゃんと合わせろよ」
するとヤマトは、ムッチーをチラッとにらんでから、『てんこうしてきたばかりのやつを、エモノになんか、するなよ』と、こころの中で言いました。もちろんその声は、だれにも聞こえませんでした。
「ムッチー、やめろ!」
レオが、ぴしゃりと言いました。ヒロユキが立ち止まって、こっちを見ているのに、気がついたからです。
「むかつくんだよ、あの目。あいつ、ときどきおれたちのこと、見てやがるんだぜ」
レオは、イライラしながら言いました。
「おれも、あいつの目、にがて。あいつに見られると、なんだかぞっとする」
ムッチーも、言いました。たしかに、ヒロユキの大きな目に見つめられていると、なぜかヤマトまで、ソワソワしてたまらなくりました。
「おい、見てんじゃねぇよ!」
とうとうレオが、どなりました。とたんにヒロユキは、ハッとしたようすで、目をふせました。そして、せなかを丸めて、にげるように行ってしまいました。
「あとをつけてみようか…」
レオが言い出しました。
「いいじゃん、おもしろそう」
ムッチーも、ニヤリとわらいました。