ユキチのめがね

「もちろんヤマトも、来る…よな?」

レオは、ちょっぴりしんぱいそうに、ヤマトのへんじをまっています。

『ぼくは、行きたくない』

そう答えれば、またレオは、がっかりしてしまうでしょう。ヤマトは、こころの声とははんたいに、こう答えました。

「うん、いいよ」

レオが、うれしそうにわらいました。

「よし! きまり」

レオとムッチーは、ものかげにかくれながら、ヒロユキを追いかけはじめました。しかたなくヤマトも、ついていきました。

ヒロユキは、つぎつぎと細道をまがり、小さな川のふちを歩いていきます。川は少しにごっていて、くさった玉ねぎみたいなにおいがしました。

「うわっ、くせぇ!」

ムッチーが、手で口をおさえました。

「これでも、道かよ!」

やがてヒロユキは、草ボウボウの野原の中に、とびこむように見えなくなりました。レオたちも、せの高いススキやアワダチソウ、ブタクサをかきわけながら、あとを追いました。

「このさきに、家なんかあったっけ?」

野原をぬけると、タイヤの山やガラクタにかこまれたところに、出ました。

「ここ、ゴミおきばじゃん!」

三人でガラクタのかげからのぞいていると、ヒロユキはゴミの山の間をぬけて、小さなたてものの中にきえていきました。

「えっ、まさか、あそこにすんでるの?」