「だけど、ある日、ぷっつりやめてしまってねぇ…」
「どうして?」
「なかよしだったチームの友だちが、玉ひろいをしていて、こより川にながされてしまったんだよ」
「えっ?」
おばあちゃんは、ぶつだんの引き出しから、一まいの古いしゃしんを出してきました。
「見てごらん」
そこには、ヴイサインをしたお父さんと、十八番のユニフォームをきた少年が、うつっていました。
「あっ…!」
レオは、いきが止まりそうなくらい、びっくりしました。
それはまちがいなく、あの、トワでした。
「おまえの父さん、ショックでねこんじゃってね」
「えっ、父さんが?」
「じぶんが弱かったせいだって…。じぶんがもっと強かったら、友だちをたすけられたはずだって…」
「そうだったんだ…」
レオは、はしをにぎったまま、じっとしゃしんを見つめました。
それから、ふと思い出しました。
こより川のグラウンドで点呼をとると、どうしてもひとり、多くなる…。
トワのたましいは、今も…。
「おばあちゃん、おれ、明日、うちに帰る。また、がっこうに行くよ」
「まぁ、きゅうにどうしたんだい?」
おばあちゃんは、うれしいやらさみしいやら、わらいながらなみだぐんでしまいました。
レオも、いそいでごはんをかきこみ、なきそうになるのをごまかしました。
『うちに帰ったら、まっさきに、父さんに伝えよう。
今もトワは、こより川のグラウンドで、たのしそうに、なかまをおうえんしているよ、って…。
これからもずっと、おれたちをおうえんしてくれているよ、って!』