コーチが、みんなを呼びあつめました。
「ちゃんと、そろってるか? よーし、番号…」
点呼をとろうとしたとたん、マネージャーがあわてて止めました。
「コーチ! このグラウンドで、点呼はだめですよぉ」
「あ、そっか…」
みんなが、どっとわらいました。
『なんで?』
レオには、なんのことか、わかりませんでした。すると…。
「こより川のグラウンドで点呼をとると、どうしてもひとり、多くなっちゃうんだぜ~」
「むかしからの、言い伝えだよ」
少年たちが、ニヤニヤしながら、おしえてくれました。
「気にするな。よくある、かいだん話だよ」
キャプテンが、みんなをだまらせるように言いました。
「よし、かいさんだ! 気をつけて帰れよ」
「はいっ!」
少年たちはちりぢりに、土手をかけあがっていきました。
レオも、うしろからついていきました。
「今日は、すごかったね」
あの、玉ひろいの少年の声がしました。
ふりむくと、やっぱり十八番の少年でした。
「ぼくは、トワ。永遠(えいえん)とかいて、トワ」
「ふ~ん…。かわった名まえだけど、いいひびきだな」
「きみこそ、レオなんて、かっこよすぎだよ」
レオは、ほめられてうれしくなりました。
「きみのおうえんも、すごくよかったよ」
「ほんと? うれしいな。ぼくはいつだって、思いっきり、なかまをおうえんしてるんだ」
「おれ、明日の試合、がんばるよ」
「うん、きたいしてるよ」