こより川のグラウンドで
こより川の土手には、たくさんの人がいました。
「あ、そっか。今日は土曜日だっけ」
みどりのしばふやアスファルトの上で、スポーツをしたり、絵をかいたり…。みんな、それぞれにたのしんでいます。
「ちっ、ひまなやつらばっか…」
レオは、ズボンのポケットに手をつっこみ、グラウンドのほうにおりていきました。
どこかの野球チームの少年たちが、ふた手に分かれて、練習試合をしています。
ぼんやりながめているうちに、レオはひとりの玉ひろいの少年に、気がつきました。
「いいぞ! そのちょうし!」
十八番のユニフォームをきたその少年は、とびっきりたのしそうに、声をあげています。
「今のスウィング、サイコーだ!」
「つぎはホームラン、ねらえるぞ!」
なかまのプレーがうまくても、へたでも、思いきりおうえんしています。
「なんだ? あいつ、玉ひろいのくせに、やたらと元気だな」
レオは、クスッとわらいました。そのときでした。
ボールがイレギュラーバウンドをして、とつぜんレオのほうにとんできたのです。
すると玉ひろいの少年が、するどくさけびました。