俳句・短歌 歴史・地理 歌集 日本列島 2021.01.21 歌集「秋津島逍遥」より三首 歌集 秋津島逍遥 【第61回】 松下 正樹 “忘れえぬ旅をまたひとつ三十一文字に封印す” ――日本の面白さに旅装を解く暇もない 最果ての無人駅から、南の島の潮の香りまで、まだ見ぬ土地に想いは募る。 尽きせぬ思いが豊かな旅情を誘う、味わい深き歌の数々を連載にてお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 黒潮にただよひ着きし流木の 皮削げて異土に生を終はりたり 大洋(おほわだ)を見下ろす坂本龍馬像 見はてぬ夢に胸はふくらむ 足摺(あしずり)の空は交叉路(こうさろ)きらきらと 機は星空を縫ふごとく航く
小説 『再愛なる聖槍[ミステリーの日ピックアップ]』 【新連載】 由野 寿和 クリスマスイヴ、5年前に別れた妻子と遊園地。娘にプレゼントを用意したが、冷め切った元妻から業務連絡のような電話が来て… かつてイエス・キリストは反逆者とされ、ゴルゴダの丘で磔はりつけにされた。その話には続きがある。公開処刑の直後、一人の処刑人が十字架にかけられた男が死んだか確かめるため、自らの持っていた槍で罪人の脇腹を刺した。その際イエス・キリストの血液が目に入り、処刑人の視力は回復したのだという。その槍は『聖(せい)槍(そう)』と呼ばれ、神の血に触れた聖(せい)遺物(いぶつ)として大きく讃えられた。奇跡の逸話(…
小説 『幸せを呼ぶシンデレラおばさんと王子様[2024年話題作ピックアップ]』 【第7回】 武 さき 「しばらくは男性と距離を置きたかったのに」彼は率直に話す方だ。面と向かって言われるとドギマギしてしまう... 火曜日、今日は絵画教室。十月下旬になって、少し寒い。薄手のコートを着て出かけた。教室について準備をしていたら、偶然に会う男性が、「昨日は本当にびっくりしましたね」「私もびっくりしました。うふふふ」笑ってしまった、ついうっかり。「今日教室の帰りお茶でもしませんか」誘われた。悪そうな人でもなさそうだし。「いいですよ」「じゃ、後で」不思議と嫌な感じではない。教室が終わって近くのカフェに着いたら男性が先…