そこで、検討するに、虚偽有印公文書作成、同行使罪に関する事実関係についても、前記第2の【1】のとおりであるところ、原判決が(弁護人の主張に対する判断)「第三判示第二の虚偽有印公文書作成、同行使の事実について」において、これと同様の事実関係を認定した上、被告人にD医師と共謀の上の虚偽有印公文書作成、同行使罪が成立するとして説示しているところは、おおむね正当として是認することができ、原審における主張とほぼ同様の主張をして、この原判断を論難する所論は、いずれも理由がない。
なお、一点だけ説明しておくと、所論は、被告人が病理解剖報告をもとに、病死と理解できると考えた旨主張するが、Aの本件急性肺血栓塞栓症を引き起こすような病気はなく、それは、状態を示すために表現した言葉であることが明らかであり(L医師の原審証言〔原審記録213丁の277〕)、これは医師であれば容易に理解し得たところであり、この所論に沿う被告人の供述は、単なる弁解というほかない。
論旨は理由がない。