引きこもりの人生相談
山にこもって十二日目。今日は寒い。もうすぐ冬が来そうである。天気は曇りである。
悩むことの大切さがわかった僕は迷わず悩むことができた。最近は悩むことが楽しいとさえ思えるようになってきた。
今日悩むことは、利己主義と利他主義のどちらが正しいかということである。それはすでに利他主義が正しいと気づいたが、利己主義と利他主義の中間に近づくために、さらに考えることにしたのである。そして、僕は利己主義に戻った。
僕には名誉欲があった。それを捨てたかったのである。しかし有名になったからといって野望を捨てられるのかどうかわからない。だから有名になりたくない。
ただ、有名になると社会の役に立てる。しかし社会の役に立つより、自分の名誉欲を捨てることを優先するという利己主義である。
普通、利己主義なら有名になりたいはずである。だからこの利己主義は最初の利己主義とは違うということになる。
その日の夜は、床で寝るのも慣れてきてよく眠れた。それから僕はあいかわらず毎日悩んだ。
何日か経った。山にこもって三十日目。雪が降っていた。
僕は何日も悩んだ結果、ついに悟りを開いた。悟りを開くとはどういう事かというと、悩むことの大切さがわかり、そして、利己主義と利他主義の中間に、ある程度近づくということである。
ただし、それで満足してはいけない。常に自分は無知だと思うことが大切である。そうすることで、より深く考えることができるのである。
いつしか、僕が住んでいる里山に、「仙人」がいるといううわさが広まった。そして、たまに、訪問者が来て、僕に会って悩みを相談するようになった。
そのたびに、僕は人生を語っている。今日も悩みを抱えている人が来た。