田畑さん

売店と田畑さんが言っていたので、駅の売店のような大きさだとアッキーもひまりも思い込んでいた。が、そこは、ファミレスほどの広さがありイートインスペースはガラス張りで展望もよく開放感もあった。

田畑さんは左端の窓際のテーブル席を素早く見つけると、二人を手招きした。田畑さんに手招きされて、その席に二人は座った。アッキーは、ひまりを田畑さんよりなるだけ遠くに座るように促した。

だが、かえって会話しやすい位置になってしまった。アッキーはむかむかと面白くない気持ちになったのだ。田畑さんはちょっと待っててと二人に言うと売店の方に消えていった。

アッキーは、「あのさ~田畑さんってさ、嫌な感じだね。そう思わない?」「ぜんぜん」

ひまりは何事もなかったように平然としている。それどころか、「アッキーママに手紙を渡してくれるって言ってたね」ひまりはとても嬉しそうにしていた。

そしてアッキーママのことを聞かせてくれそうだねとニコニコとしているではないか。少しすると田畑さんは透明な小さな袋を下げて戻って来た。

そして、またひまりに顔を向けて、「フレンチクルーラーを買って来たよ、好きかな~?」透明の袋から出されたフレンチクルーラーのドーナツは甘い花の匂いにも似ていた。そんなフレンチクルーラーのドーナツはひまりは見たことも食べた事もなかった。