田畑さん
遠くからこちらの方に歩いて来る女性がいた。薄いピンク色した制服の女性だ。
痩せているのだが、胸がやたら大きくみえる。胸のボタンはきつそうに締められている。髪の毛はベリーショートだ。幾つぐらいだろう、アッキーママと同じ年齢ぐらいか?
やはり年齢を考える力はまったく無かった。それにアッキーはアッキーママの年齢もよく考えれば気にした事もなかった。そして、その女性がこちらに向かって歩いて来て、通りすぎようとした瞬間に、
「あらっ~、田畑さん、可愛らしい方達が面会でいいわね~息子さん? 娘さん?」
「いえ、違います」
バーコードの頭をまたかきながら照れくさそうにしている。
「あ~、え~っと、確か田畑さんは独身でお母様と一緒にお暮しよね?」
「はい、そうです」
「まぁ、かわいいガールフレンドとボーイフレンドがいて良いわね」
ボインの薄いピンクの制服の女性は、アッキーとひまりに向かって挨拶をした。
「私は、大滝です。ここでナースをしています、よろしくね!」
大滝ナースはテーブルの上のフレンチクルーラーのドーナツをしげしげと見ていた。そして、「私も休憩時間に食べようかな~?」と言いながら立ち去ろうとしていた大滝ナースに、ひまりは突然、立ち上がって、「アッキーママのことは知っていますか?」と言うではないか。