デイケア
ひまりはフレンチクルーラーを食べながら、田畑さんに手紙のことを聞きたくて仕方ない。ひまりは田畑さんに手紙の事を話す前に、やはりアッキーに先に承諾をしてもらいたかった。ひまりはアッキーに何度か目配せをした。そして、それに気付いたアッキーは首を横に振った。えっ~なんで? 田畑さんに手紙を渡してもらうのはダメなの? ひまりは落胆するしかなかった。しかし、ひまりの代わりにアッキーは声をわざと低くして田畑さんにこう言ったのだった。
「手紙をアッキーママに渡してもらう事は出来るのですか? どうなんですか?」
まるで小さな刑事のようだ。周りの患者さんや面会の人、ドクターや、ナースに聞こえないように小さな声だが凛とした声で毅然とした態度でこう言ったのだった。せっかくひまりがアッキーママに、一生懸命書いてきた手紙なのだ。ここで引き下がる訳にはいかない。アッキーだってひまりと同じようにアッキーママに会いたい。息子でも、『面会謝絶』だと言われたのだ。ひどすぎるではないか。
田畑さんはそれでも、また、ニコニコしてひまりを見ながら、
「アッキーママに『デイケア』で会うから、その時渡してあげるよ。大滝ナースには絶対に見つからないようにするから、心配しなくてもいいから」
「本当に大丈夫ですか? 見つかったらどうなってしまうんですか?」