抹茶ソフト

「そういえばさぁ、家の最寄り駅はどこなの?」と、アッキーは、ひまりに聞いた。ひまりは、あっさりと、「大久保駅」と、答えた。アッキーはガガガ~ンと今にも脳天から脳細胞が飛び出しそうになった。

「俺も大久保駅」

それを聞くとひまりはまん丸の目をさらに大きくさせた。なんでなんでと二人は不思議になり、お互いの目を見て声がしばらく出なかった。コンサートの日は夜でバスに乗っていたから、大久保駅を通過したのをアッキーは気付かなかったようだ。

「私は図書館側の改札口なの。自転車で大久保駅に通っているけど、さすがにひどい雨の日だけバスに乗っている」

そう言うとまた、まん丸の目を今度はパチパチとさせた。アッキーはひまりがこんなにも明るくて無邪気なのだと驚いた。

「アッキーさんの改札口は?」
「おい、おい、今さらアッキーさんはないだろ。俺は、ひまりって呼ぶよ」
「呼び捨ては、ないでしょう~」

と頬をふくらませたひまりだった。

すると、アッキーはジャンケンをして決めようと言い出した。まるで小学生みたいだと思ったが、ひまりは負けた。『ひまりちゃん』ではなく『ひまり』に決定した。

すると、アッキーは調子に乗りひまりを家まで、また送りたいと思い始めた。しかし、アッキーの家は反対の大学側の改札口だった。ひまりは絶対に嫌だと怒りそうである。

しつこくして嫌われたくなかったが、このまま帰るのは寂しすぎた。偶然はもう起こらないかも知れない。ならば、あのソフトクリーム屋さんにひまりを誘ってみようと思った。

ひまりはどんな顔をするだろうか、ソフトクリームは好きだろうか?

「あのさ~ソフトクリームを食べに行かない? どう?」

遠慮がちだがここは強く迫ってみた。

「ソフトクリームねぇ~。う~ん、どうしようかな?」