ひまりは口を閉じて首を傾けた。それを見たアッキーは返事を待たずに駆け出していた。すると、後ろからひまりが走って来るではないか。やったー!とアッキーはVサインをしたのだった。

ソフトクリーム屋さんのお店の前に来ると、あのおじちゃんがやはり、居眠りをして座っていた。アッキーが、すみませんと言ったが起きない。

もう一度、怒鳴るようにして声を掛けた。すると、おじちゃんがびっくりして椅子から落ちそうになった。ひまりは思わず声を出して笑うと、おじちゃんはひまりを見るなり顔をしわくちゃにして『いらっしゃい』と言うではないか、この間の不愛想なおじちゃんとは別人のようだった。

このソフトクリーム屋さんは浩司と探検済みである。やはり男ならもたもたしたところは見せられないとアッキーは意気込んでいた。

ひまりは抹茶ソフトクリームにするとすぐに決めた。アッキーも抹茶ソフトクリームが大好きなので嬉しくなり、おじちゃんに二つ頼んだ。

ぐるり、ぐるり、チョンと先にアッキーの抹茶ソフトクリームが出来上がった。次はひまりの番だ。おじちゃんはひまりを見てから、ぐるり、ぐるり、そしてもう一度、ぐるり、そしてチョンだった。

何でだ、ずるいではないか、アッキーはおじちゃんを睨み付けた。おじちゃんは『また、来てね~』とひまりを見ながら言うと、また椅子に座って手まで振っているではないか。浩司が聞いたらすごく怒るに違いなかったが、今日の事は誰にも話したくないアッキーだった。

まぁ良いか、と思ってひまりを見ると、溶けて落ちないようにともう食べ始めていた。溶けてだらりとならないように二人は黙々と食べていた。

抹茶ソフトクリームのコーンの部分になって、ひまりはようやく落ち着いて話し始めた。あのおじちゃん、面白いねとアッキーの顔を見て話しかけると、アッキーの口の周りは緑色になっていてひまりは大笑いした。アッキーはひまりも同じだよと言うと、ひまりは照れくさそうにはにかんで下を向いた。