第3章 改正医療法(医療事故調査制度)成立への経緯
(1)厚労省第3次試案・大綱案と病院団体合意
医師法第21条は、「医療の外」(紛争解決)の問題として、「外表異状」で決着。一方、医療事故調査制度は、「医療の内」(医療安全)の制度として、日本医療法人協会案を骨子として出来上がった。
当然の決着であり、医療事故調査制度は「医療安全」を学問的に進めていけばいいと考える向きもあろう。しかし、そう簡単ではない。そもそも、医療事故調査制度は、「責任追及」の制度として出発している。
それが、幾多の修正(パラダイムシフト)を経て、今回の「医療安全」の制度として出来上がったのである。
「医療安全」の制度として定着させるためには、制度成立の経緯と微妙な解釈部分を医療現場がしっかりと理解して、正しい対応を取ることが必要である。中身を知らぬきれいごとを振りかざし、オウンゴールをしてはならない。
揺り戻しがありうること、揺り戻しを許さないために医療現場の努力が必要なことは言うまでもない。