第Ⅰ部 医療経営戦略
第3章 経営戦略論
本連載のポイント
・戦略とは機会費用を念頭に置き、トレードオフの間で取捨選択を行いながら、自組織の理念やビジョンにマッチしたリソースの配分を意思決定することです。
・現在の経営手法が、単なる戦術なのか戦略なのかを常に問い続ける必要があります。
・フレームワークを用いて外部環境と内部環境を分析し、自組織の強みを発見し、特定分野への選択と集中、他組織との差別化が重要です。
・現在の経営手法が、単なる戦術なのか戦略なのかを常に問い続ける必要があります。
・フレームワークを用いて外部環境と内部環境を分析し、自組織の強みを発見し、特定分野への選択と集中、他組織との差別化が重要です。
理念、ビジョン、ドメイン
皆様の病院あるいは企業の理念は何でしょうか?「理念」とは、その組織が社会において存在する価値そのものを指します。普遍的な内容で、外部環境が変化しても絶対に変えてはいけないものです。
大学病院では診療・教育・研究の3つの使命があり、それらを包括した理念が多いです。
例えば、愛知医科大学病院は「特定機能病院として、診療・教育・研究のすべての領域において、医療を基盤とした社会貢献を目指す」としています。2017年の年頭の本学理事長の挨拶では「情緒と品格を備えた医療人の育成」が掲げられました。
京都府立医科大学附属病院では「世界トップレベルの医療を地域へ」と京都府民のニーズを満たし、地域へ貢献することを理念に掲げています。
理念は利害関係者(ステークホルダー)に示されるとともに、従業員への浸透を通じて組織文化の形成に大きく関わります。