第5章 社会人に求められる能力とは

創造力の学び方

社会のニーズは刻々と変化しているにもかかわらず、利用条件は変わらずそのまま放置されているからです。利用条件を見直さなければならないのに、自分たちの都合でそれを行わないのです。

新しい試みに挑戦しようと思いながらも、上司が受け入れてくれない、経験不足であるなどネガティブな理由を脳裏に浮かべてしまい、思考が広がっていかないのです。つまり、市場のニーズを無視し、自分たちの都合を優先させるため創造性が発揮されないのです。

価格、販売エリア、生産条件、部課の方針、上司の顔色、知識水準など創造性を邪魔する要素は山ほどあります。創造的な会議を行おうとしても、必ずといってよいほどできない言い訳の説明に時間を取られてしまいます。ある意味、私たちはできない理由を探す天才といえます。

これでは何百時間議論しても、創造的な成果を上げることなどできません。まず思考の障害となる制約条件を忘れなければなりません。制約条件が社員の成長と創造力を阻害していることを認識することが必要です。

この最大の障害である制約条件を外して考えることで人は変わります。それまで働かなかった頭が回転するようになるのです。

制約条件なしに議論するようになると、人の表情も変わります。表情が豊かになりワクワクしながら話をするようになります。これは思考が活性化している証拠です。目的にそって自由に思考をめぐらすという、本来あるべき姿を取り戻すことができるのです。

新製品開発会議を行う際に、一所懸命議論しているにもかかわらず、「自分だったら買わない」と述べる人がいます。これでは創造的な商品をつくり上げることはできません。

また、経営者や責任者が間に入って、「そんなことを言っても、○○はどうするのか」と口を挟むことがあります。○○という現実的な制約を示したところで、話の展開が終わってしまいます。それではいけません。