俳句・短歌 短歌 自由律 2020.11.21 句集「愛のままで咲く」より三句 愛のままで咲く 【第17回】 馬場 美那子 “こぼれる愛 からめた指の すき間から” 十七音に込められた、愛と感謝の川柳句集 母へ、恋しい君へ、愛犬へ、かけがえのない日常へ。やさしく、時に激しい愛の詩。 5章からなる川柳句集を連載にてお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 シクラメン君の心の機微を読む ささやけば君がほほえむ十三夜 君を待つ桜吹雪を浴びて待つ
小説 『約束のアンブレラ』 【第3回】 由野 寿和 なぜこの場所にいたのか…ずぶ濡れだった少女の靴についた泥の一部は乾きかけていた 「遺体は三十代半ばの女性。薬指には婚約指輪だ。三ヶ月前の九月三十日に失踪した久原真波(くはらまなみ)に酷似している」「にしても失踪届が親族から出されたのは三ヶ月も前です。遺体の腐敗は進んでいるのではありませんか?」「理由は三つある。あの傾斜は地面から二メートル近い場所にあった。地中深くに埋めることで微生物などの影響を軽減し腐敗が遅れた。そして低温環境だ。冬という季節に加えて、この藤山は高山地帯と…
小説 『シウカラ』 【第6回】 山田 光美 「彼は、死ぬ間際にあるコトバを残した。“ヒエタノアレモコロサレキ”」…ヒエタノアレ? 聞いたことがある、確か『古事記』の… 琴音がそう言ったにもかかわらず光一は反応せず考え込んでいた。女将は奥の客に呼ばれて場を外したが、そこにいた誰もが光一の次のひと言を待っていた。やがてぐい飲みの酒を一気に飲み干すと、ようやく口を開いた。「つまりテレビのインタビュー番組に出演した直後、先代社長は何者かに殺された、と。話の断片をつなぎ合わせるとそういうことになるよな」「え、殺されたって、だれがですか? もしかしてその守屋さんと言う人?…