俳句・短歌 短歌 自由律 2020.11.28 句集「愛のままで咲く」より三句 愛のままで咲く 【第18回】 馬場 美那子 “こぼれる愛 からめた指の すき間から” 十七音に込められた、愛と感謝の川柳句集 母へ、恋しい君へ、愛犬へ、かけがえのない日常へ。やさしく、時に激しい愛の詩。 5章からなる川柳句集を連載にてお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 オジサンになってる亡君(きみ)の夢を見た 妻子ある君を欲せば花嵐 君の子を抱く狂うほど愛哀し
小説 『約束のアンブレラ』 【第3回】 由野 寿和 なぜこの場所にいたのか…ずぶ濡れだった少女の靴についた泥の一部は乾きかけていた 「遺体は三十代半ばの女性。薬指には婚約指輪だ。三ヶ月前の九月三十日に失踪した久原真波(くはらまなみ)に酷似している」「にしても失踪届が親族から出されたのは三ヶ月も前です。遺体の腐敗は進んでいるのではありませんか?」「理由は三つある。あの傾斜は地面から二メートル近い場所にあった。地中深くに埋めることで微生物などの影響を軽減し腐敗が遅れた。そして低温環境だ。冬という季節に加えて、この藤山は高山地帯と…
小説 『あなたと虹を作るために[人気連載ピックアップ]』 【第7回】 福田 恭子 夫の死体に触れ、はっとした。冷たい…。想像もしていなかった冷たさだった。もう一度触れ、とんでもない冷たさと硬さに驚いた 博史との再会午後四時頃、やっと自宅に着くことができた。博史はまだ帰っていなかった。葬儀社が、ぎりぎりまで私を待ってくれたうえに、雪道で時間がかかった。にもかかわらず遠回りをして勤務先の大学の前を通ってくださった。義父が大学の事務所に電話してその旨を伝えたので、事務職員の方々が総出で車を迎え、見送ってくださったそうだ。大学の正門、大隈講堂、大隈庭園への道、キャンパスに通じる道……等々、博史が長い年…