俳句・短歌 短歌 自由律 2020.11.14 句集「曼珠沙華」より三句 句集 曼珠沙華 【第16回】 中津 篤明 「冬花火 亡び 行くもの 美しく」 儚く妖しくきらめく生と死、その刹那を自由律で詠う。 みずみずしさと退廃をあわせ持つ、自由律で生み出される188句。 86歳の著者が人生の集大成として編んだ渾身の俳句集を連載でお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 さからいて 返り血 浴びて 彼岸花 父よ 母よ 少年滂沱 雪明り 野に棲んで 四月 失意の 石枕
小説 『「本当の自分」殺人事件[注目連載ピックアップ]』 【第9回】 水木 三甫 硬直する体に構わず、若い桃のような頬に唇を当てる。首筋からさらに下へ、新鮮な匂い。しがみついていた力は抜け… 【前回の記事を読む】「好きな店でいいよ」と絶対に言わない。行く店は決めてくれるし、選ぶ店のセンスもいい。浮き彫りになる、夫の物足りなさ。高校を卒業すると、希代美はすぐに故郷を捨てた。都内の小さな問屋にどうにか事務職を得た。希代美は一生懸命働いた。会社とアパートを行き来するだけの生活。とにかくお金を貯めたかった。一人で生きていくためにはお金を貯めなければいけないという強迫観念があった。預金通帳の残…
小説 『テラスの旅路Ⅰ』 【第25回】 響乃 みやこ 雷が落ちて真っ赤に燃えた木が倒れかかってきているのに、足が全く動かない……このままじゃ本当に死んでしまう。だ、誰か… 【前回記事を読む】『ごめんね、幸せにしてあげられなくて…産んでごめんね』『産まなければよかった』…あの女の言葉がフラッシュバックする。「ゔ、ぅ……」(なにこれ……手足が、殴られたみたいに……)急に起こったことを脳が処理しきれず、体を動かそうと必死に頭をフル回転させても、行動に至るまでの思考回路が遮断されていて、なにも考えられない。視界が黒くかすんでいて、今自分がどういう状況に置かれているのかさえ…