俳句・短歌 短歌 自由律 2020.11.07 句集「曼珠沙華」より三句 句集 曼珠沙華 【第15回】 中津 篤明 「冬花火 亡び 行くもの 美しく」 儚く妖しくきらめく生と死、その刹那を自由律で詠う。 みずみずしさと退廃をあわせ持つ、自由律で生み出される188句。 86歳の著者が人生の集大成として編んだ渾身の俳句集を連載でお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 彼女 如月 少年故の 淡い疑問符 如月へ 少年 銀色の 鳩とばす 少年の 光茫 一瞬 百千鳥
エッセイ 『ボクは、笑顔でできている ~多くの人に支えられて、白血病と闘うことができました~[注目連載ピックアップ]』 【第2回】 向井 健一郎 「病名は急性リンパ性白血病です」"急性リンパ性白血病"は約10万人に1人の確率で発症する。なぜ私が、と妻と二人で泣いた。 翌日の朝に、もう一度血液検査とエコー検査などを行いました。消化器内科の医師からは、「肝臓や脾臓は少し腫れているが、これが痛みの原因とは考えにくいです。最初のCTスキャンの画像を見ると、リンパ腺がいくつか腫れているところが見られたので、午後からは血液内科で診てもらいましょう」という話がなされました。私は「血液内科」とは初めて聞く名前だったので、これは何の病気だろうと思っていました。午後、病室が血液…
小説 『29歳、右折の週』 【第13回】 言田 みさこ 何日もたたないうちに彼女は子宮ガンで死んでしまった。「こんなに明るいならきっと治るだろう」と皆安心していたのに… 【前回の記事を読む】にこにこと話しかけながら、その背中を好意的にパタパタ叩くんだけれど、それが手のひらじゃなくて、真っ白の黒板消しだった理緒子の家は、築数十年という古い公団アパートの一階にあり、六畳と四畳半の二間に家族5人(理緒子は長女で、下に妹が二人いる)が暮らしていた。あさみは何度かそこへグループで呼ばれたが、板の間の狭い台所に据えられた丸テーブルを囲んで、背もたれのない低い小さな丸椅子にな…