積善の家に余慶あり
四人とも最初は遊んでやるか位のノリでしていたが、善行が誰よりも宝くじが当たれば本当に当たったかのように喜び、入試に落ちればこの世の終わりのように落ち込んだ。
ゲームの中で究極の選択というボックスがあって善行がトライした。そこにはこう書かれてあった。
『貴方は、神様からどちらかを選択する権利を与えられました。どちらを選びますか? A 大金持ちだけどひとりぼっち B 貧乏だけど家族と一緒』
善行は、迷いなくBを選んだ。ゲームなんだから大金持ちになろうよと思ったが父らしいなとも思った。ゲームの中でも家族想いだった。
四人は、人生ゲームを通して何に喜び、何に哀しむのか知った。確かにそこには幸せな空間があった。
『もう一度、四人で人生ゲームをしたい!』
九十回、九十一回、九十二回……。
「はあ、はあ、はあ、絶対にやりきる!」
その心とは裏腹に体は動かない! 渚はガックリとひざまずいた。
「はあううう……」
歯をガタガタ言わせて何かを必死で耐えていた。不意に太ももあたりをバンバンたたいて叫んだ。
「う、動けぇ、動けぇ! 動けええ!」
光輝はうずくまったまま動かない。二人とも極限のきつさと寒さの中、自嘲していた。
思えば今まで何の目標も夢もないままぬくぬくと暮らしてきた。達成する喜びも感じてこなかった。
そんな中途半端な二人が、土壇場で頑張り通せるはずもなかった。あと八回まわればやり遂げられるのに果てしなく遠い道のりに思えた。
「私は……」
「俺は……」
「ダメな人間だ!」
こんなていたらくでは両親は救えない。
「もう、歩けない……ごめん、父ちゃん、母ちゃん……」