「私は、私はマイと申します」
エリカは笑顔で、
「送ってあげるわ。あなたかわいいから変な男にからまれないように」
エリカは170cmの栗毛で華やかな美貌の持ち主で「女は女たれ」と思っている男たちの中では評判が悪いが、ある意味男にモテる。
普段はドレス姿のエリカは、いつも誰かから求婚されている。そのたびに「青いバラをくれたら」とか「人魚を見せてくれたら」とかはぐらかしている。
女性にもモテる。普通の女性より背が高く男装してもよくはえる。実際の男よりも女性の気持ちがわかり、ある意味理想的な男性にうつるのだろう。
だが、彼女のマネを出来ない幾人の女たちには評判が悪い。
うって変わってマイは152cmの金髪で、お人形のようにきゃしゃでかわいく内気。言葉を発しなくても心が通じあえるので動物が好き。
そんな二人がたどり着いたのはサーカス団だった。
「マイ、あなた……」
「ハイ。サーカス団のブランコ乗りです」
「すご~い」
すると一人の太った男が近づいてきた。
「マイ、つかまえてきたんだね」
「ハイ、ここにいるエリカさんのおかげです。エリカさん、この方はサーカスの団長です」
「ピエールと申します。このたびはありがとうございます」
「どういたしまして、団長さん」
エリカもにこやかに答えた。そしていたずらっぽく笑って、「マイ、あなたの素晴らしい演技を見たいわ」
「えっ!」
団長も笑いながら、
「見せてあげなさい」
マイはとまどいながらも、つちかわれた妙技を見せた。マイは生き生きしていた。自由でのびやかで、どこまでも美しい。
「マイ、素敵だったわ。私、魅了されちゃった。妖精みたいにきゃしゃなのにすごい!」
「ありがとうございます」
「指のダイヤモンドも素敵ね」
マイは顔色を変えて、
「小さいころにはめられて、今ではもうはずれないんです」
「そうなんだ」
エリカの目は、するどく光った。