やっと少し親のことと向き合う気持ちになったのかと思っていたのに、元の木阿弥かとがっかりした。「これは二度と話をしないパターンだな」と内心呆れながら二人のやり取りを聞いていた。
「親の話になるとどうしてあんなに意固地になるんだろう」とだんだん腹が立ってきた。今、父親と同じ家にいるのに、ほとんど話をしようとせず、私と麻衣が話し相手になっている。忙しいのはわかるが、忙しいのはお互い様のはずだ。そんな感情が高まっていたのか、義父が自分の部屋に戻った時、思わず義父のことを口にしていた。
「私はあなたにお義父さんともう少し仲良くしてもらいたいのよ。今同じ屋根の下にいるんだから。この機会を逃したら後悔することになるんじゃない」と最初は諭すように話をした。
私は義父といる時間が増えるにつれて義父を誤解していたと思うようになった。頑固な部分もあるだろうが、ずっと私が思っていたような「わからずや」ではないような気がしている。だからこそ夫と義父が仲たがいをしていることに心が痛かった。
ずっと仲直りしてほしかったのかもしれない。話しながらそのことに気がついた。だからこそ今言わないといけないと思った。予想外のことに、夫はびっくりしたようだった。
「いきなりなんだよ。その話には触れないことがルールだったじゃないか。ママも知っているはずだよね。この問題は簡単には結論が出ないことなんだ。よく考えないといけないので、疲れている今はいい考えが浮かばないよ」とブツブツ小声で返事をしている。
「風呂に入る」
乱暴にドアを閉めて部屋を出ていった。
いつもの逃げに入っているようにも見える夫に、いつにも増して幻滅した。一方で「いつものことなのでしょうがない」という気持ちもある。義父が近くにいることで私と同じように気持ちが変わったのではないかと期待していた。
でも意固地になっている夫は、今の私の想いとはかなりずれている。ただもっと不機嫌になることが多い夫が、真剣な様子で「考えてみる」と言ったのは、今までとは違っているのではないかと期待してしまう。
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