「うたすふくんじゅとつくあて……」
「は? もっと大きな声で! ここは劇場であなたは俳優ですよ!」
尾崎がキレた。
「私は彼女とは付き合っていません! 理亜が見つけた手紙は彼女から一方的に送ってきたものです!」
「ちゃんと話せるじゃないか」
「私なんかのどこがよかったのか分からないが、彼女は最初はファンレターを送ってきていました。
それがいつの間にか私が既婚者であるにも拘らず、結婚してくれなければ死ぬとか妄想めいたような手紙に変わっていったんです。自宅にまで押しかけてきたことがあったので怖くなって内密に警察に相談しました。警察から彼女に警告があってからは手紙は来なくなってほっとしました」
「ちょっと待って、じゃあ、何故あの手紙を今まで持っていたの?」
理亜が訊ねた。
「その当時、警察から証拠になるので捨てないで保管しておいてと言われたんだ。でもその後はすっかり忘れていた」
「なんだ……」
理亜はすっかり拍子抜けしたようだった。
「お前、そんなことしていたのか」
黒田が瑠璃を睨みつけた。彼女は身を縮こまらせ、上目遣いで彼を見上げた。
「そう言えば、俺も随分迷惑したことがあったな」
枝園が声を上げた。
「俺が瑠璃にぞっこんで、ホテルに何度も誘っているとか根も葉もない噂を垂れ流しているのが誰か調査したら、何と瑠璃本人だった時はびっくりしたよ」
「へえ、上品そうな顔をして実は虚言癖のストーカー女だったとはな。とんだサイコパスだな。ひょっとして烈斗を殺したのはあんたじゃないのか、瑠璃さん」
馮が瑠璃を挑発した。
「私が烈斗を殺すわけないでしょう!」
瑠璃は大声で叫んだ。