「証拠はありません。ただ、状況からあなたが烈斗さんを毒殺したとしか考えられないんです。烈斗さんの遺体から青酸カリが検出されたことから、彼が毒を飲んだことは間違いありません。

でも舞台で使用された杯からも舞台袖で彼が飲んでいたペットボトルの水からも青酸カリは一切検出されませんでした。では彼はいつ青酸カリを飲んだのでしょう。

彼が何かを飲む機会があったとすれば、やはり、ハムレットがホレイショーから杯を奪って毒を呷るあの場面しかないと思います。黒田飛鳥さんと加藤瑠璃さんは杯の中には何も入っていなかったと証言した。これは信用できると思います。

何故なら2人とも杯を呷るシーンがあるからです。もし、彼らがそこに毒を入れていたら自分達の命が危なくなる可能性がありますから。それにやはりお2人が自分の息子を舞台で毒殺するとはとても考えられない。

そうなると、テーブルに置かれていた杯をあなたが取り上げた時に客席からは見えないように背中で隠しながら杯の中に青酸カリを錠剤にしたものか何かを入れたんじゃないですか? 錠剤であれば杯から青酸カリが検出されることもない。

そしてそれを奪って呷った時に烈斗さんの口の中に錠剤が入ってしまった。演技中ですから吐き出すわけにもいかない。そして彼は命を落としてしまった」

「そんな馬鹿な。僕はそんなことはしていません。それに何故僕が烈斗君を殺さないといけないんですか」

「堀井さん、あなたは烈斗さんと同性愛の関係にあった。違いますか? 

あなたは烈斗さんがあなたとの関係に見切りをつけ、袰岩理亜さんと結婚しようとしているのを知り、激しく嫉妬した。彼が理亜さんと結婚する前に舞台で彼を殺し、永遠に自分のものにしようとした。違いますか?」

「全然違います。よく誤解されますが、僕はLGBTじゃありません。烈斗君とはただの友達でした」

「でもそれを証明できますか? 烈斗さんはあなたの家に泊まり込むことも多かったそうじゃないですか」

次回更新は10月9日(金)、21時の予定です。

 

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