【前回の記事を読む】弾痕が残っているのに木の奥に弾丸がない。死体から50メートル離れた林で発見されたが…頭部を貫通した後で50メートルも飛ぶとは思えず…

ダウト1――銃殺を疑え

はあ、と天蓋は深い溜息をついた。

「君はだから駄目なんだ。他人からの伝聞や紙切れや写真を見せられただけですっかりその人が死んだと思い込んでしまう。

君にとって他人の死はそれほど軽いものなのかね。

君が見た現場の写真を私も見た。君のようにドラマや映画でしか射殺体を見たことのない人間には分からないだろうが、私のように何度も実物の射殺体を見てきた人間にはすぐに違和感を覚えた。

側頭部の射創は別の事件の被害者の写真をそのまま持ってきたんだろうが、頭部や顔についていた血痕の色や形が不自然だったのだ。それに解剖写真の顔も死体とは思えない程肌の色艶がよかった。

だが、あの写真を合成した人間もおそらく射殺体を何度も見てきた人間で、非常に巧妙に偽装されていた。あるいはAIを使ったのかもしれない。

だから本当に合成かどうか確信が持てなかった。だが、君と詩が公園で第1発見者の3人の若者に話を聞いた時、山本は死んでいないと確信した。

3人は10メートル先に倒れていた男の頭から血が流れていたと言っていたからね」

「それがどうしたと言うんですか」