「それ褒めてるんですか、それとも……」
「もちろん褒めている。『馬鹿と鋏は使いよう』と言うじゃないか。ちなみにここでの鋏は西洋バサミではなく和バサミのことだ。和バサミはうまく使うのにコツがいるからな」
「1週間もロッカーの中にいたくせにどうして僕が間抜けだと分かるんですか。僕はこの1週間、Y公園銃撃事件を必死で捜査していたんですよ」
「もちろん知っている。だからこそ間抜けだと言っているんだ」
「分かりました。どうせあなたも刑事教養第3係の新米が捜査一課の事件に首を突っ込むなんて料簡違いだとでも言いたいんでしょ」
「いいや。むしろ最近の若者にしては気骨があると感心していたほどだ」
「じゃあ、何で間抜けなんですか」
高井良はむっとして訊ねた。
「先程君が語っていた推理はなかなかのものだ。特に弾丸のトリックは君が考えた通りだろう。だが君は重要な点で見落としをしている。君と詩は公園で3人の若者の証言を聞いたはずだ」
「何でそれを……ロッカーの中にいたんじゃないんですか」
「だから君は間抜けだと言うんだ。もちろん君達が部屋にいるときはロッカーの中に隠れていたが、いない時には部屋の中で休むしトイレにも行くし外出もする。君達が外出する時は私も必ず君達の後をつけていた。あの時3人は午前1時頃にドーンという音を聞いたと言っていた」
「ちょっと待ってください。僕達の後をつけていたとしてもそんな遠くから会話の内容まで聞こえますか?」
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「気でも狂ったんですか」頭部を撃ち抜かれ司法解剖までされた死体。それでも係長は「Y公園で殺人事件など起きてはいない」と断言した
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