【前回の記事を読む】今朝の再捜索でようやく弾丸が見つかった。「あれだけ多くの警察官が捜索したのに、どうして今?」しかも被疑者逮捕と同じタイミングで…
ダウト1――銃殺を疑え
その日、高井良は自分で作った捜査資料をテーブルの上に広げ、頭を抱えたり、腕組みをしたり、頬杖をついたりしながら夜遅くまで一人で教3の部屋で考え込んでいた。気づくともう午後11時を回っていた。
「やっぱりこれしかない」
高井良は考えを整理するために、自分の推理を声に出して展開し始めた。
「山本学は辻係長に覚醒剤取引の情報を掴まれ、それを見逃す代わりに賄賂を要求されていた。
しかし、彼は何らかの理由で賄賂を拒否した。おそらくは辻係長の罪を何らかの形で告発しようとしたに違いない。
それを知った辻係長は自分の罪が露見するのを恐れ、あの公園に山本を呼び寄せ、頭部を自分の拳銃で撃ち抜き口封じをした。その時山本の頭部を貫通した銃弾は近くのモミジの幹に弾痕を残した。
公園にいた松本ら3人が近づいてきたのに気づいた辻係長は一旦身を潜めてから再び現れ、初めて現場に駆け付けたように装い、3人をその場から立ち退かせた。
この時もう一人刑事がいたと言っていたが、それは木下健一警部補に違いない。辻係長は木の幹から弾丸を回収した。
それが・38スペシャル弾であることが分かると自分に疑いが向くからだ。
だが、公園で弾丸が発見されないことを僕から追及された彼は一計を案じた。
山本の知人であった藤井を傷害容疑で逮捕に向かったんだ。あの時辻係長はわざと藤井に逃げる隙を与えた。
そして追い詰められた藤井がナイフで反抗したと嘘をつき、どこかで入手した拳銃でトカレフ弾を地面に向けて発射した。その弾丸を回収し、翌朝のY公園の遺留捜査で見つかったことにした。
それに、警察官が装備している弾丸は厳密に管理されているから、もし辻係長がY公園で・38スペシャル弾を発射していたら最終的に管理責任者に弾丸が1発減っていることがばれてしまう。
だが、藤井に対して威嚇射撃した事実があればこの矛盾も同時に解決するわけだ……」
「くだらない」
「えっ!」