【前回記事を読む】サントリーホール2006席に対し、《エロイカ》初演のホールは130席程度。ベートーヴェンの交響曲は、現代よりも小さな空間で…
第1章 ベートーヴェンに思う
2 初演会場から考えるベートーヴェン
現在の半分以下の規模の会場での交響曲
いずれにしても、次の表に見るように、これらは現在のホールの半分以下の規模である。
今日では演奏会場の大規模化に対応してオーケストラも通常七〇~八〇人程度で演奏されている。
ベートーヴェンがピアノ・メーカーに音域をより広く、音量をより大きくするよう絶えず要求していたように、オーケストラ規模もより大きくしてほしいと願っていたと思われるが、それにしても二〇〇〇人に上る聴衆の前で七、八〇人規模で演奏されるとは想定していなかったのではないか。
四〇人と八〇人とでは単に音量が異なるだけの違いではない。
原譜では管楽器の本数は二管編成と指定されており、第三交響曲の場合だと各二管にホルンをもう一本、それにティンパニーを加えて、非弦楽器が合計一四人。
総勢二七人のオーケストラ(エロイカザールの場合)では弦楽器はわずか一三人、これを弦楽五部に配分すると、前頁の表のようになろうか。
この弦の薄さではベートーヴェンならずとも、「もう少し何とかならないか!」と願いたくなる。
アン・デア・ウィーン劇場のような四五人ぐらい乗れるステージなら第一ヴァイオリンを一〇人確保でき、低音も充実できる。ベートーヴェン自身もこれくらいの規模を想定して作曲していたのではないだろうか。
